私の本棚「時代を生きた俳句」

NHK出版の「時代を生きた俳句」を読んだ。
この本は俳人高野ムツオが大人のための俳句観賞読本としてまとめたもので、明治から現代までの様々な出来事を背景に詠まれた俳句を紹介、解説しているものである。
大まかに戦争や地震などの災禍、その災禍からの復興の道のり、過ぎ去った時代を偲んだもの、肉親や愛する人の生死を詠んだものなどに分けることができる。
俳句は瞬間を表現するものなので、東北大震災のような災禍が俳句と言う言葉に表現されたときに思わぬ力を発揮することがある。
私が学んでいる俳句は伝統俳句で、客観写生を標榜しているだけにこのような事件や災害を反映した句を詠むことは少ないが、全く詠まないわけではない。
特に愛する人との出会い別れを詠んだ句は数えきれないほど多い。
今日はその中から、稲畑汀子ホトトギス名誉主宰のご主人との別れの心情を詠んだ句を、「時代を生きた俳句」としてご紹介しよう。

  長き夜の苦しみを解き給ひしや  稲畑汀子

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肥後守

百年句会の途中に、都府楼址で竹とんぼ愛好会の方から竹とんぼをいただいた話をしたが、今日はその竹とんぼに関連する話である。
私の山登り用のリュックには一本のナイフが常時入っている。子供の頃から愛用している「肥後守」である。
折り畳み式のこの肥後守はまさに魔法のナイフで、これ一本で何でもできる。
柿や林檎などの果物を切ったり皮をむいたり(実際はほとんど皮のまま食べたが)、竹や小枝を切って遊び道具を自分たちの手で作ったりもした。
もちろん竹とんぼや竹笛もその一つで、息子に作ってあげて一緒に遊んだり、釣った魚をその肥後守でさばいたこともある。
竹とんぼのお蔭で肥後守のことを思い出したので、今日はその肥後守がよく切れるように砥石で研いであげるとしよう。何時かまた役に立つ時が来ることを信じて。

  梅雨雲や錆び落としやる肥後守  英世

実家の裏に団地

実は、このことは実家で正月のお祝いをした後にすぐにお話しようと思ったのだが、あれやこれやと考えているうちに、つい時を逸して今日になってしまった。
昔の私の家の裏からは、遠くかすかに見える脊振山系以外に山の姿はなく、一面に田んぼばかりが広がっていた。
それが今年の正月に実家に帰り、懐かしさのあまりつい裏の田んぼを歩いたところ、その田んぼの周辺が街中の通りではと思うほどに変貌していたのである。
私が長年親しんできた近所の田んぼは売り払われ、そこには小さな団地が出来ていた。
売り払われた田んぼの中に我が家の田んぼはなかったが、少し前にお話した分家の田んぼも含まれていた。
実家を継いでくれた弟は時代の流れで仕方がないと言いながらも、我が家の田んぼだけは売らなかったと言ってくれた。兄貴が悲しむだろうからと。

  青田風故郷遠くなりけり  英世

大名の古い町名

大名の元の町名には藩医の名に因む養巴町・雁林町、各種職掌の名を冠した紺屋町・鉄砲町などがあり、小姓町には藩主側近の小姓が住み、宮本武蔵も一時ここに住んでいたと伝えられている。
地域の人々はその路地毎に旧町名・通り名の看板を電柱に掲示して、昔の面影を偲んでいる。
その旧町名の一つである紺屋町東通りには、安政2年(1855年)創業のジョーキュウ(上久)醤油の蔵が今も現役として残っている。
ここには文久2年(1862年)建造の仕込蔵、明治初頭の米蔵や書院造の母屋(松村家住宅)などが、国の登録有形文化財(建造物)に登録され、いつでも見学することができる。
このように天神周辺には神社や細い路地、建物など、まだまだ古き良き時代の町の面影が数々残っている。
天神にお出かけの際には一歩足を延ばして、この古き良き町並を散策されたら如何だろうか。

  古町に古き醤油屋濃紫陽花  英世

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上人橋から大名

警固神社から国体道路をしばらく西に行くと、大名から薬院に抜ける上人橋通りがある。
1600年代前半頃、今の上人橋通りに香正寺というお寺があり、ここに日延上人という人がいた。
当時の福岡藩の殿様・黒田忠之と日延上人は囲碁仲間で、ある時大雨で増水した川(現在の国体道路)に阻まれ、囲碁に行けなくなった殿様が橋をかけたことから上人橋と名付けられという。
その上人橋から更に西に行くと、懐かしい二宮尊徳像が立っている警固小学校があり、その小学校から再び国体道路を越えて天神方面へ東に入って行くと、旧城下町特有の細く入り組んだ路地に差し掛かる。
今は大名と一括りされているが、かつては路地ごとに町名があり、その町名によってそこがどのような町でどのような人が住んでいたかが伺える。
その話はまた明日にしようう。

  囲碁好きの殿と和尚や風薫る  英世

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