脊振小爪集落

私がよく登る脊振山系には福岡県側と佐賀県側からいくつものルートがあるが、そのうちの登ったことのないルートが小爪峠ルートである。
名の通り脊振尾根の小爪峠(椎原峠の西隣)に麓の椎原・小爪集落から直接アタックするルートだが、峠まで続く小爪川沿いを登るのでルートは厳しく荒れてると聞いて敬遠していた。
何時かは登りたいと思っていたルートなので、先日、登山口を下見してきた。
ところでその登山口の小爪集落だが、福岡市にもまだこのような農村風景があるのかと何となく懐かしくなった。小爪川の水を引いた棚田は間もなく稲刈りが始まることであろう。
10年ほど前になるが、実はこの集落には亡くなった高校の同級生が竹炭の工房を開いていたのでその時に訪ねたことがある。
ところが、その時とは集落の様相が一変していた。
明らかに耕作を放棄した田んぼや空き家が目立ち、あちこちに売地の立て札が立っていた。
都市化の波が押し寄せているのではなく、福岡市内と言うのに山間部は逆に過疎化している。
天神に通勤するにはバスの便は少なく時間もかかるので、若い人が都市部に出ていくのは致し方ないことであろうか。

  過疎の里採る者も無き柿熟るる  英世

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絶景の立石山

一昨日の12日はまたまた何もない月曜日だということで急に海を見たくなった。私の頭には海と言えば糸島半島から見る海しかない。
と言うことで糸島を訪ねることにしたが、せっかく海を見るのであれば高いところからと、里山の立石山に登ることにした。
立石山は糸島の北西部(芥屋)に位置する標高209mの低山で、簡単に登られて晴れた日には糸島の美しい海岸線や丘陵地の絶景を見ることができると聞いていたのに、まだ登ったことがなかったからである。
さっそく車を飛ばして芥屋の海水浴駐車場から登山口へ向かった。
登山口から約30分で頂上に立った。山歩きそのものは汗かくこともなく簡単であったが、立石山と言うように巨岩、奇岩の連続で、小規模ながら岩登りの醍醐味は十分であった。
頂上から眺める360度の絶景は筆舌に尽くし難く、遠く広い玄界灘を見ているとまるで2000m級の山に登っているような感じであった。
低山だが立石山に登って本当に良かったと思っている。
また、帰りに近くのJF(漁協)直売所「志摩の四季」でいただいた海鮮丼は、ボリュームたっぷりでことのほか美味しかった。

  絶景と戴く初夏の海鮮丼  英世

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時鳥と鶯の競演

朝起きて予定表を見たら久しぶりに何もない。天気も良いし「そうだ山に行こう」と言うことでまたまたにぎりめしを持って油山に向かった。
今回は麓の花畑園芸公園から尾根伝いに油山を目指した。予想したほどの暑さはなく時折渓から吹き上げて来る風が心地よかった。
すると、新緑の樹々の上から突如特徴のある鳥の鳴き声が聞こえてきた。「トウキョウトッキョ」、間違いなく時鳥である。それから何度も鳴いてくれたので時鳥と確信した。
油山には今まで百回以上登っていると思うが、時鳥の鳴き声を聞いたのはこの日が初めてであった。
さらに吊橋下のせせらぎコースを歩いていると、今度は鶯がきれいな声で鳴いてくれた。それも一度や二度ではない、次から次と鳴いてくれる。
時鳥と鶯の競演を聞けるとは、途中で失敬した木苺の美味しかったことと共に、俳句を嗜む者としてとしてこれ以上の幸運はないと感謝の山登りであった。

  時鳥吾の疲れを忘れさせ  英世

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久しぶりの脊振山Ⅲ

つつじのトンネルをただ黙々と歩いた。黙々と歩くと言うのはいつものように単独行なので話し相手がいないからである。
だがこの日は違った。三つ葉つつじを始め竜胆やムラサキケマン、たんぽぽなど春の名残の花々に励まされながら、新緑を揺らす風に吹かれての尾根歩きは最高であった。
山奥まで帰って来た老鶯(夏鶯)が「ホーホケキョ」ときれいな声で何度も鳴いてくれて、私は思わず「おお、きれいな声をありがとう」と返事をした。
シジュウガラには「餌は見つかったかい」、飛んできた蜂には「そんなに怒るなよ」、私の足下に這い寄って来た蟻には「踏まれるなよ」、岩の上に翅を拡げている蝶には「日向ぼっこかい」、葉緑素を持たぬ銀竜草には「色白美人だね」等と声を掛けながら楽しく歩いた。
そんな中で哀しい出来事があった。三つ葉つつじの群落の樹下に50㎝ほどの穴がところどころ開いている。三つ葉つつじの盗掘の跡であることは間違いない。
私でさえこの美しい三つ葉つつじを持って帰って庭に植えたいと思うので、気持ちは分かるが盗掘はいけない。
山の植物は平地に移植しても育たないという。盗掘された三つ葉つつじが無事咲いてくれているといいのだが。
「やはり野に置け蓮華草」ならぬ三つ葉つつじである。

   盗掘の三つ葉つつじの行く末や  英世

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久しぶりの脊振山Ⅱ

しばらく歩いていると素晴らしい三つ葉つつじのトンネルが私を迎えてくれた。
常日頃は修飾語の多い文章は嫌いだと言っておきながら、この日の山道はそのことを遠く忘れさせるほどの絶景で、あえて修飾語べたべたの文章でご紹介しよう。
ピンク色で身を飾った三つ葉つつじは、きらきらと零れる木洩れ日にその美しい若葉とピンクの花を揺らしながら、私の心と体を同色のピンク色に深く染めていった。
目を足下に移せば、これまたピンク色に敷き詰めた絨毯に、柘植の木の小さい黄色の花びらを鏤め、踏むのを躊躇わせるほどの美しさと豪華さである。
また、時折谷から吹き上げる風は汗ばんだ私の頬から首筋をやさしくなでて、次に踏み出す一歩を手助けしてくれる。
1時間ほど歩いて唐人舞と言う大きな岩の鼻に着いた。
唐人舞の名の謂れは、その昔渡来人の女性がここから祖国を偲んで舞を舞ったことから名づけられたとされている。その祖国を思う乙女心に打たれながら、遠く玄界灘から朝鮮半島を望む(見えたつもり)眺めは絶景であった。
途中の少し開けたがれ場が私の何時もの食事場所で、この日もおにぎり弁当とデザートの破れ饅頭、それに山の水がことのほか美味しかった。

  谿風やどこへ行ったの夏帽子  英世

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