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晩秋の花ごよみ

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愛読の「四季花ごよみ」によると、十月は暦の上では晩秋で、空はあくまでも高く、大気は澄み渡り爽風が肌を撫でていく。木々の実は熟しあるものは紅葉し、まもなく訪れる冬を待つとある。
野山は露を結び山間部では初霜を観察するようになる。鴨が大濠公園に渡り、鶫が大群で飛来して田畑に散らばっていくのもこの季節である。
晩秋の花と言えば菊、今までも菊の話は度々してきたが、この時期になるとどうしても見過ごすことが出来ない花である。
菊は一見華やかで香気な香りがするが、寂しくはかない花でもある。特に人を天国に送る時は白い菊の花が欠かせないし、彩り鮮やかな菊で着飾った菊人形も、よく見れば一抹のはかなさを漂わせている。

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菊のほかにも晩秋を彩る花として忘れられないのが萩である。
萩は日本、朝鮮半島、中国に広く分布するマメ科の植物で、古来より幾多の歌人に親しまれ多くの歌が詠まれてきた。
特に萩と風は切っても切れない関係に有り、秋風に「なびく」とも「そよぐ」とも云われてきた花である。それだけに萩を詠む場合は風そのものをずばりと言うのではなく、それとなく表現することが大事で、歴代の名句にはそのような句が多いようである。

 母許に波打つ萩の白さかな  英世

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季節の花300より

秋の雲

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暑さはまだまだで、午後ともなると必ずと言っていいほど真黒い雲が張り出し、スコールのような雨が降ってくる。だんだん東南アジアに似た天気になっているような気がする。それでも朝夕はめっきり秋らしく涼しくなり、秋の雲が広がってきた。
秋の雲は入道雲のような躍動感や春の雲のような長閑さもなく、どこか郷愁さえ感じる青白い雲が多い。
東の空が白みだした頃、空半分ぐらいに鱗雲が太陽に美しく反射していた。鱗雲は資料によれば巻積雲または高績雲といった、いわゆる筋雲の仲間で鰯雲とも鯖雲とも言う。
さざ波にも似た小さな雲片が集まり空を覆うもので、その雲の形から鰯雲と名付けられた。また、この雲が出ると鰯が集まってくるとも言われている。時には黒い雲の間がぽっかり開いて、その上にこの鱗雲が高く広がっていることもある。
他にも似た様な雲に羊雲があるが、雲の分類上は同じもので羊雲のほうがやや塊が大きい。この雲が現れると天気は下り坂でいよいよ秋本番である。
今日はNHK俳句を楽しむ会がある。どんな句が飛び出すだろうか。

 鰯雲朝日の空に広ごれり  英世

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仲秋の花ごよみ

私の書棚の四季花ごよみによれば、仲秋9月の別名には長月、菊開月、菊月、祝月、詠月、紅葉月などがある。
長月は夜が次第に長くなる月の夜長月を略したことから、菊月は菊の花が咲く月であることから、紅葉月は紅葉が始まる季節であることから名付けられた。
昨日もお話したように旧暦との時間差があるので、実際とは少しずれるかもしれないが、
水は澄み朝夕の風もめっきり涼しくなってくる。木の枝にとまった鵙は、荒れ果てた棚田を愁ふかのように時折鋭く乾いた声を発し、この世を牽制し澄明な秋の大気を震わせる。
仲秋の代表的な花を上げてみよう。
彼岸花、竜胆、野菊、コスモス、鶏頭などと、なぜか群をなして野山を覆い尽くす花が多いようである。ことに菊と日本人は切っても切れない縁があり、皇室のご紋章となっていることはご承知の通りである。
そういえば九月号の「グランザ」に菊の紋章の説明があり、楠正成の菊水紋、西郷隆盛の南州紋など皇室から頂いた紋もあると解説していた。

コスモスの風押し渡る岬かな  英世

生駒高原
生駒高原

姫向日葵

あまりの暑さにほとんどバスタオル一枚で寝ているが、今朝は久し振りに肌寒さを感じて目が覚めた。
庭に出て見るとヒンヤリとした涼しさでようやく秋近しを思わせる。俳句の世界ではこのような涼しさを新涼と言い、夏の終わりを予感させるが、どっこいそう簡単には行くまい。

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話しは夏に戻るが、夏の代表的な花に向日葵がある。向日葵は太陽にあわせて顔を回すと言うが、実際に回るのは莟の頃までで、大きくなったらその花と種の重さで回らなくなるらしい。
その向日葵によく似た花に姫向日葵がある。近所の歯科医院の庭にたくさん咲いているが、図鑑によると、姫向日葵は向日葵同様北アメリカ原産のキク科の植物で、明治時代に日本に渡来したとある。
花も背丈も向日葵より一回り小さく、枝分かれして数個の花を咲かせている。葉や茎には全体にエーデルワイスのような白い毛がびっしりと生えており、繊細な感じながら暑さにも強く、花期も長いのが特徴である。
畑や草原に一面に広がる向日葵の大群も壮観だが、庭の片隅に遠慮がちに咲く姫向日葵もなかなか趣がある。
ちなみに向日葵は夏の季題であるが、姫向日葵に関しては独立した季題はなく、向日葵と同化して詠んでも良いであろう。
大濠公園でその向日葵の花の莟を切った馬鹿者が居ると聞く。何のための嫌がらせか、単なる目立ちたがり屋か、いずれにしても嘆かわしい日本になったものである。

 向日葵や己が重さに伏目がち  英世

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天の川

今月の俳句の会「鴻臚」の兼題に天の川が出た。
天の川は夏と思われがちであるが、流星や星祭(七夕)などと共にれっきとした秋の季題である。ちなみに星だけでは季題にはならない。
天の川は銀河系内の無数の恒星が、天球に帯状に流れるように見えるものを、古人が川に見立てて呼んだものである。7月7日(旧暦)の七夕の夜に牽牛と織姫がこの川を渡って年に一度会うと言う。古代の人はロマンチックなドラマを演出したものである。
天の川は別名、銀河、銀漢、星河とも呼ばれ、初秋の澄み切った空高くに悠々と流れる様は、まさに太古の人が描いた天の大河そのものに見える。
その天の川が都会ではめっきり見えなくなった。街が明るくなった所為かも知れない。中国の大気汚染に関係があるのかもしれない。いずれにしても山の上にでも登らなければ見られなくなったのは残念なことである。
5、6年ほど前になるが、久住の漆黒の草原に寝そべり、一人眺めた天の川の美しさは、今でも脳裏にはっきりと焼きついている。

  銀漢やなかのひとつが母の星  英世

天の川


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