十月が終る

今日でやっと10月が終わる。やっとと書いたのには理由がある。
日本列島を襲った台風が例年になく多く、伊豆大島の土石流災害では死者行方不明を合せ44名の犠牲者を出してしまった。その台風の10月がやっと終わったのである。
何故こんなにも台風の発生が多いのか。情報によれば地球温暖化が影響しているかもしれないとのことである。
また、中国北東部のハルビンではメーターでは測れないほどの大気汚染が広がって、市民生活にも支障をきたしているとか。
問題はただ中国のことだと安穏としているわけにはいかない。中国の風はやがて偏西風に乗りもろもろを運んで日本にやって来る。
中国からは雁の便りぐらいにして貰いたいものだと思いながら、澄みきった日本の青空を眺めていた。
インフルエンザの予防注射もしたことだし、今夜は日本シリーズを見ながら心静かに冬を待つとしよう。

 鳥渡る偏西風に促され  英世

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一句の風景

台風に三日足止め島の旅

現役の頃沖縄は私の担当エリアであった。
商用でたびたび訪れ、エキゾチックな街の雰囲気にすっかり魅了されていたが、偶々ある時台風に遭遇した。
稀に見る大型台風で、飛行機ももちろん船も欠航で、やむを得ずホテルに引き返した。
台風は翌日には過ぎ去ってしまったが、交通の乱れはひどく急いで帰る理由も見当たらないままもう一日滞在した。
不謹慎ではあるが、そのことがある意味では冒険の様で、妙に楽しくなって賜った句である。
2011年(平成23年)10月「季題:台風(秋)」

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柿の木

昨日はお相撲さんが博多駅に着いたとの記事があった。博多にいよいよ冬がやって来る。
さて、柿と云えば秋の果物として代表的な季題であるが、今日はその柿の実ではなく柿の木の話をしよう。
我が実家の古い家(二代前の藁ぶき家)の庭には大きな柿の木があった。
秋には黄色い実をたわわに付けて私たちの食欲を満たしていたが、あまり大きすぎて上の方は全くとることが出来ず、大風が吹いて落ちて来るのを待って食べた。
大きな木だが子供の私からすれば登ることは簡単だし、少し登れば全部ちぎれそうに見えたのだが、父は決して登ることを許さなかった。
父の話では、柿の木は枝が根元から裂け易く、危ないから決して登ってはいけないと言うことであった。
試しに下枝にぶら下がってみたところものの見事に裂けて折れてしまった。
やはり昔からの言い伝えは正しく理にかなっているようである。

 望郷の落暉の色に柿染まる  英世

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竹の春

散歩で動物園の北側を歩くことがあるが、そこにある竹林は夏の間は日差しを遮って涼しさを与えてくれる。
この春先に頭を出した筍も今は立派な若竹に成長している。竹にとってはその成長が著しい時期、つまり秋が竹の春なのである。(秋の季題)
私が子供の頃の実家には多分女竹と思うのだが、近くに竹藪がうっそうと茂っていた。もちろんその竹藪は我が家の所有地でご先祖の墓所でもあった。
その筍は細いながらも甘くておいしく、祖母が摘んできて煮てくれるのを楽しみにしていた。
祖母はマムシがいるので竹藪には行くなと言うが、子供の私たちはそんなことはお構いなしに、戦争ごっこや忍者ごっこをして楽しく遊んでいた。
その竹藪もなくなってしまい、今は町営の保育園や豪華な民家が建っている。
人手の少ない山林では、成長力が強い竹が山を覆い尽くそうとしている。その反面都市部では竹藪はおろか、竹の植え込みさえ減ってきている。
涼しさを演出し癒してくれる自然の恵みは大切にして欲しいと思うのだが。

 一筋の流るる雲や竹の春  英世

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カワハギの養殖

新聞で宮崎県がカワハギの卵から稚魚にする「種苗生産」に成功し、量産化のめどをつけたという記事を読んだ。
私は思わず心のなかで「やった素晴らしい。これで美味しいカワハギが安値でたくさん食べられる」と叫んだものだ。
「歯ごたえのある白身に、濃厚な肝~」と言う書き出しで始まった新聞では、フグに似て美味とあったが、私はカワハギの方がはるかに美味しいと思っている。特にフグと違って毒がなく生で食べられ肝はことのほか絶品である。かわはぎ1 かわはぎ2
カワハギの仲間にはマルハギと呼ばれるまん丸いものと、ウマヅラというやや細長い顔のものがいる。
何れも愛嬌のある可愛い顔だが、正式にカワハギと呼ばれるのはマルハギで、刺身はもとより煮ものにしても鍋にしてもマルハギの方が圧倒的に美味しい。
むかし大分に住んでいた頃、別府湾でカワハギを大量に釣り、薄く引いた白身の刺身を肝にまぶして食べたことが忘れられず、先日も句会の打ち上げでこのカワハギの刺身を頂いたばかりである。
大量に市場に出回るのは来年かららしいが、今から待ち遠しくて仕方がない。

 カワハギの刺身と肝と秋の酒  英世

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使いなれた漢字

少し前のホトトギス誌の話であるが、汀子主宰のコラム「俳句随想」に面白い話が載っていたのでご紹介しよう。
俳句を嗜む私たちに限らず、日本人の多くは漢字に親しみその中に生きている。
その漢字であるが、長年親しんでいると自分が正しいと思い込んで使っている漢字に間違いがあっても気付かずに使っていることが多い。つまり思い込みである。
また、昨今はパソコンに頼りっぱなしで、自分が手書きで誤って使っていた漢字が逆に正しい漢字に変換されてしまうこともある。
ちなみに私が思いこみで使っていた誤字は蜻蛉の「蜻」の字で、作りの部分をつい「青」と書いてしまっていた。正確には「靑」と書かねばならない。
汀子主宰ご指摘のように、俳句を趣味とするものとして正しい漢字の使用に努めねばなるまい。

 反転の蜻蛉に思案あるらしく  英世

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個性

ずいぶん前になるが、ある新聞のコラムに「個性とは」という小論が載っていた。
それを受けて、私なりに個性について考えてみた。
何でも自由にというのが個性のように取られがちだが、少し違うような気がする。
人間としてあるいは日本人として決められたルールを守り、そこに少なからず輝きを発するのが個性ではなかろうか。
個性的で奇抜な家を建てても、倒れてしまっては元も子もない。
また、最近のコンビニなどでの若者の乱痴気騒ぎは、個性でも何でもなく単なる悪ふざけの目立ちたがリで、今頃その代償の大きさに涙しているであろう。
コラムに載っていた絵本作家「やまだうたこ」さんの言葉をご紹介しよう。
「何でも自由に、もいいけれど、決められたことを一生懸命こなすことだって個性。結果は何一つ同じになり得ないのだから」

 秋空に空飛ぶ船を描く子かな  英世

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筑紫野探勝会「水城跡」

今回の筑紫野探勝会吟行は太宰府市の水城跡であった。
西鉄電車で下大利駅を過ぎると、東西に伸びる緑の帯を見ることが出来る。これが水城跡である。
以前にもこの水城跡のことは紹介したので、詳しいことには触れないが、吟行地の多い太宰府市でも五本の指に入るぐらいの史跡の地である。
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この日は台風の余波で雨の予想であったが、幸運にも予想は外れ曇り空ながら何とか持ちこたえてくれた。
水城は表裏に分かれているが、その裏表共にいまコスモスの花盛りで、梢では小鳥が激しく出入りしているし、時折鵙の鋭い鳴き声も聞こえてきた。
例によってこの日の入選句をご紹介しよう。

 きざはしに杖抱く媼薄紅葉  英世

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さつま焼酎「島娘」

美人句友から「美味しい焼酎が手に入ったので一本送るわ」と言われ、酒席のことだとあまり期待していなかったが本当に送って来た。
送っていただいたのはいま静かなブームになっている、「さつま島娘」の一升瓶(1800ml)であった。
醸造元は鹿児島県の離島「長島」の長島研醸で、あの有名な「さつま島美人」と同じ醸造元である。
青く透き通った一升瓶の液体は見るからに美味しそうな感じがする。
さっそくカンパチのお造りを肴に生で飲んで見た。匂いと言うか香りはあまりきつくないさっぱりした飲み心地であった。
その後、試しにと水割とお湯割りで飲んで見たが、何れも癖のないふくよかな舌触りであった。
島内限定販売で、島に行くかインターネットでしか買えない貴重な焼酎、贈っていただいた方に感謝しつつ、しばらくはちびりちびりと楽しむとしよう。

 まぼろしの酒は静かに秋の夜  英世

島娘

百年句会「花畑園芸公園」

昨日は3年前に市内の花畑公園で詠んだ一句をご紹介したが、今回の百年句会は久し振りにその花畑園芸公園が吟行の地であった。
花畑園芸公園は県の園芸試験場跡地を公園化したもので、その名の通り春は様々な花、秋は今まさに柿やミカンが盛りで、林檎には赤い紙袋が掛けられていた。
もちろん市民の園芸に関する相談や講座を開いており、専門の技術者も常駐している。
園内は自由に散策できるように休憩所や池なども配置され、フルーツを観賞したり時には蜜柑狩などのイベントにも参加できるようになっている。
またいつもお話しする油山の登山口の一つでもある。
この日の吟行は薄曇りに時々太陽が顔を出すといった、暑くもなく寒くもない絶好の秋日和であった。
例によってこの日の特選句をご紹介しよう。

 掛けられし袋も赤き林檎かな  英世

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一句の風景

あの峠越えて故里青蜜柑

近くの花畑園芸公園に遊んだ時の句である。
園芸公園はまさに秋たけなわ、園内に柿や蜜柑、キウイなどが今か今かと出番を待っていた。
この園芸公園の南には脊振山系が連なっている。その山を見ながら、「ああ、この前はこの峠を越えて実家に帰ったなと、故郷を恋う気持ちが徐々に募って来た。
目の前には色付き始めた青い蜜柑が鈴なりに実を付けていた。
2010年(平成22年)10月「季題:青蜜柑(秋)」

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秋の雨

雨は一年中降るが、季節によってそれぞれ趣が異なる。
その中で秋に降る雨は、低温を伴って長雨になり易く陰気な感じがする。
俳句ではこれを秋雨と呼び単に秋の雨とも言う。
夏の暖かい高気圧が去ると、冷たい高気圧が大陸から張り出し前線が停滞する。それがいわゆる秋雨前線である。
その秋雨前線を台風が刺激したりすると大雨になり易く、秋霖・秋黴雨と言った長雨になって秋出水を引き起こすこともある。
天高く晴れ渡る空が一般的には秋と思われがちだが、どちらかと言えば秋は雨になりやすい。
こころ浮き立たぬ沈んだ侘びしい日、女心と秋の空と言われる不安定な季節を招来するのも秋の雨かもしれない。
その秋の雨が今回の兼題だった。例によってこの日の入選句をご紹介しよう。

 秋雨や陸に揚げたるどんこ舟  英世

初鴨

秋の終り頃に大濠公園を散歩していると、濠の真ん中あたりに静かに休んでいる鴨の群れを見ることが出来る。これが初鴨である。
鴨には通し鴨とか夏鴨と言われる一年中棲みついている鴨もいるが、ここで言うところの鴨は秋の終りに渡ってくる冬鴨のことである。
通し鴨は人に慣れ、岸辺近くに遊び餌を漁っているが、渡って来たばかりの初鴨は濠の中心部に陣をなしているのですぐに見分けることが出来る。
鴨の種類は多く、資料によれば大濠公園に渡ってくる鴨はほとんどが真鴨(青頸)だが、中には首から上が茶色と言う独特の化粧をしたホシハジロを見ることもある。
この鴨が渡って来て、街にお相撲さんの姿が見えるようになると博多の街もいよいよ冬を迎えることになる。
その初鴨が今回の兼題であった。例によってこの日の特選句をご紹介しよう。

 大陸に開けし街や鴨来る  英世

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芋・藷

秋は芋の美味しい季節であるが、俳句では単に芋と言えば里芋のことである。
「いも」と言う字には藷と芋があるが、焼きいものさつまいもは甘藷とも言われるように一般的に藷の字を使う。一方煮っ転がしが美味しい里芋にはこの芋の字を使うようである。
また、里芋の小さいものを衣かつぎと言って、塩ゆでしてビールのつまみにすると美味しいが、その語源は平安時代ごろから身分のある女性が被り物を被って顔を隠したことから付けられたらしい。
一方、さつま芋で思い出すのは父の従妹が、どういう訳か知らないが遠く鹿児島に住んでいて、この時期になるとトラックにたくさんのさつま藷を積んで里帰りしてきたことを思い出す。
母はそのおばさんをあまりよく思っていなかったが、藷だけは喜んで貰い蒸かして私たちの貴重ななおやつにしてくれた。
もうその母もおばさんも居なくなってしまった。遠い昔の話である。

 幼子の両手に確と蒸かし藷  英世

秋風


今回は秋風という古典的な季題が兼題であった。
入門歳時記にその解説があったので、そのままご紹介しよう。
「秋風と言っても特に定まった風向きもなく、吹き方も強く弱くと様々であるが、古来より詩歌に多く詠まれている。
やはり、秋から冬へ冷気も加わり、草木も衰えて行くため風もことさら身に沁みて哀れをそそるためであろう。
爽籟とは秋風の爽やかな響きをとくに言う。また、金風とも言うが秋は五行説では金に当たるためである。」
俗に「秋風が吹く」というと男女間の愛情の冷めるたとえに使われるが、これは秋と飽きをかけたもので、なかなかうがった例えになっている。
私はこのような秋風の使い方を句に詠むことは好まない。
例によってこの日の特選句をご紹介しよう。

 やうやくに秋風の野となりにけり  英世

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新酒

昨日は日本酒で乾杯の話をしたが、今回の句会ではその日本酒、つまり新酒が兼題であった。
その年に収穫された米で醸造される酒のことである。
現在は寒造り(冬)が主流で、秋から年内に掛けて醸造される酒はほとんどないが、昔は自家製(どぶろく)として新米をすぐに醸造したので、俳句では今でも秋の季題として扱っている。
新酒が出来てもまだ残っている酒を古酒と言ってこれも秋の季題である。
ところでこの新酒のことを新走とも言うが、その語源が気になった。
調べてみると、伝統的な手法の「槽」や「袋」で酒を絞るとき、最初に絞りだされる酒のことを新走と言うとあった。
例によってこの日の特選句をご紹介するが、枡酒を飲んだことのない人には分かりにくい句だろう。
また、昨日は裏山の鴻巣山を散策したので、今日からしばらくは周辺の草花や木の実をご紹介しよう。

 枡酒の塩の甘さや新酒酌む  英世

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日本酒で乾杯

秋風と共に日本酒がおいしい季節がやってきた。
日本酒は一時期焼酎などにその地位を脅かされてきたが、このところ少し持ち直してきたようである。
ところで、新聞の情報によると「日本酒で乾杯を促進する条例」なるものが、酒処の京都、兵庫、佐賀などで制定されたと言う。
目的は日本酒の産地であるこれらの府県は、条例で「清酒による乾杯の習慣を広めることにより、清酒の普及を通して日本人の和の暮らしを支えてきたさまざまな伝統産業の素晴らしさを見直し、ひいては日本文化の理解の促進に寄与することを目的に」としている。
ここで言う伝統産業とは清酒醸造業を指していることは明らかで、地元の醸造元と結託した訳ではあるまいが、何とも仰仰しく以て回った言い回しである。
そもそもお酒なんぞはお役所が「何々を飲め」、それを「はい、そうですか」と言う代物ではあるまい。
美味しければ押しつけられなくとも自然に飲むようになるはずである。
ただ、美味し過ぎて過ごしてしまうこともまたこの日本酒の特徴であろう。

 子のくれし薩摩切子や新走  英世

愛莉と動物園

約束通り昨日は愛梨と動物園に行った。
愛莉のマンションから約20分坂道を歩いてまず植物園に行き、そこから動物園に移動したがこれがまあ何と人の多いことか。
三連休の真ん中でさらに絶好の行楽日和とうことで、少しは多いだろうと覚悟していたが、これほどとは驚きであった。聞けば駐車場も一時間待ちだと言う。
動物園がリニューアルして動物と接し易いようになったことも影響しているのかもしれない。
それにしても愛莉のタフさには驚かされる。
仕方のないことではあるが愛梨は順路通りには見ようとしない。まず亀を見て象、カバ、トラと自分の気にったものから見ようとする。
その間子供動物園で小動物に接し、豆電車や空飛ぶジャンボに乗ったり食事をしたりと忙しく動き回り、後戻りして同じ道を何回も歩かされる。
再び植物園を訪れ、秋の薔薇やコスモスを見ながら散策し、子供木工教室などでしばし疲れを癒し、帰りには母親にちゃっかりとたこ焼きのお土産まで買わされた。
それでも、乗り物に乗らず一日中歩き回った愛梨との楽しいひとときであったことには違いない。

 コスモスや影なき子らの声高し  英世

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誰かとどこかで

昭和42年(1967)1月に始まったラジオ番組永六輔と遠藤泰子の「誰かとどこかで」が先月9月で終了となった。
テレビの旅番組「遠くへ行きたい」と同様に素朴でノスタルジックな番組であったが、そのラジオ番組が永六輔の80歳を機に終了することになったのである。
何と46年もの間、同じタレントと同じスポンサーと云う稀な長寿番組であった。
番組では永六輔とアシスタントの遠藤泰子が、リスナーからの便りを読みながら世相批評をしたり、旅先での思い出などを語っている。
また、当時ははがきが7円だったことから名づけられた「七円の唄」のコーナーでは、リスナーから届くたったはがき一枚の便りのなかに、リスナーの思いや日常の生活風景を紹介していた。
スマートフォンやパソコン全盛の時代に、はがきと手紙だけの便りを紹介すると言った古い良き時代の番組がまた一つ消えて行った。
今日は間もなく愛梨と動物園に行くことにしている。

 七円の葉書に涙秋燈下  英世

旧国鉄「小笹駅」

昨日、N新聞に旧筑紫線の沿線風景が特集されている話をしたが、その中に私の住む町の筑肥線「小笹駅」が紹介されていた。
筑肥線と言っても小笹駅と言ってもそんなものあったのと言う人がほとんどだろう。
このブログでもずいぶん前に小笹駅のことを詳しく紹介したので、今さらお話しすることもないが、何となく懐かしく思い出している。
筑肥線は1983年(昭和58年)に廃止されているので、もちろん私が小笹に住み始めた頃は既に小笹駅は無くなっていた。
だが、私はこの駅のことを鮮明に覚えている。
というのは、かつて私は西区の方に住んでいたことがあり、博多駅から何度かこの筑肥線を利用したことがあるからである。
いまは団地が出来、マンションが林立し往時の面影は全くなくなったが、南の長尾方面の人がこの小笹駅を利用したかと思うと、何となくその存在感を意識してしまう懐かしい心の駅である。

 コスモスや取り壊されし町の駅  英世

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30年前

少し前の話だが、地元N新聞のコラム欄に福岡市の市営地下鉄が開通して30年になるとあった。
その地下鉄開通前、つまり30年前の姪浜までの筑肥線沿線の風景を紹介し、その変貌ぶりを記事にしたとあった。
30年前と言っても福岡市に住む三人に一人は知らない計算になる。
それに人の移動を加えるとその比率は格段に上がってしまう。
そのような半分にも満たない新しい人は、どんな思いでこの記事を読んだだろうか。
これから日本を背負って立つ若い人に、単に郷愁だけではなくそこに住んでいた人たちの努力、苦難、苦労を少しでも感じて貰うことは少なからず有意義であろう。
そして、彼らの手でこの町をより住みやすい平和な街にして貰いたいものである。
残り少なくなってきた我が身を振り返りながら、そのようなことを考えていた。

 秋風に故里恋ふる我が身かな  英世

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脊振の花

一句の風景

敗荷刈る光と影を織りなして

福岡状の城堀にはたくさんの蓮が植えられており、夏は蓮の花を見事に咲かせている。
その蓮も秋風と共にだんだんと枯れて、茎は折れ葉は破れてしまう。この状態が破れ蓮または敗荷である。
ついには職員の手で刈り取ってしまわれるが、小舟に乗って破れ蓮を刈る光景は、折からの秋の日を浴びてキラキラと輝いている。
まさに光と影を織りなしてである。その様子に感動して賜った句である。
2009年(平成21年)10月「季題:敗荷(秋)」

式年遷宮

少し前の話だが、NHKBSプレミアムの、伊勢神宮「受け継がれるこころとかたち」と言う式年遷宮の特集を見て大いに感動した。
伊勢神宮はご存じの通り皇室ゆかりの宮で、太陽を神格化した天照大御神と衣食住を司る豊受大御神をお祀りする神社である。
一般的には「伊勢神宮」とか「お伊勢さん」とか言われているが、正式には他の神宮と区別するために地名を付けず単に「神宮」と言う。
そのお伊勢さんで20年に一度社殿を造り替える大祭が行われる。これが式年遷宮である。
正殿を始め垣内(みかきうち)の建物全てを新しい場所に移して建て替えし、さらに殿内の装束や神宝を新調して、御神体を新宮へ遷(うつ)すものである。
式年遷宮の目的は、その神宮の作り方にもある。
萱ぶき屋根の掘立柱で正殿などが作られており、塗装していない白木を地面に突き刺した建築法は風雨に弱いという弱点があり、短期間で建て替える必要がある。
木造故の宿命で、西欧のような石造りの神殿ではそうはいくまい。
だが式年遷宮の意義は他にもある。
まず何といっても社殿や所蔵の装束、神宝を新しく作ることで、その技術が後世に引き継がれていくことにある。
番組では檜を斧で伐採する技術や、神刀作り、装束そして様々な神宝の図面の書き写しなど、全て元のままに作業している様子を報じていた。
また、それを受け継ぐ若い世代を「こころ」と言う形で表現していた。
まさに「受け継がれるこころとかたち」と言えよう。

 神宮は遷宮さなか伊勢の秋  英世

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愛莉と魚釣り

一昨日の日曜日の朝、あまりのお天気の良さに孫の愛莉を動物園に誘おうと電話をすると、愛莉はいま姪浜の波止場で父親と魚釣りの最中だと言う。
今からでも良いから一緒に釣りをしようと言うので、急ぎ車を飛ばして合流した。
魚釣りは東京で友人と一緒に船釣りに行ったきりで、20年ぶりになるであろうか。
行ってみると愛莉は父親に教わりながら、真剣なまなざしで竿を上げ下げしている。
私は早速愛莉の指導係となって、アミ籠を付けたさびきで小物を狙った。
ところがさっぱり釣れない。
周りの釣り人や愛莉の父親は結構釣れていると言うのに、私たちには全く当りがない。20年のブランクを魚たちも知っているのだろう。
やっと当りがあった。ビクビクと来る独特の引きに私の心は逸った。
愛梨はそっちのけで引き抜くと、残念、なんとこの辺りでよく釣れる小さなかなと河豚である。
その後愛莉の竿に白く光るものがあった。やった、本命の鯵子が釣れた。愛莉の喜びようと言ったらない。完全に私の負けだ。
かくして今日の釣果は、父親と併せて鯵子が約10匹、やや大きめのセイゴ(スズキの子)が1匹であった。河豚とコノシロ、ベラは捨ててしまった。
愛莉にまた行こうと誘われた。
愛梨は完全に釣りにはまりそうだし、私も少なからずその気にさせられてしまった。

 秋の釣り孫の愛莉に負けにけり  英世

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酒の肴

久し振りに晩酌をしたいと言う私に、家内が素晴らしい酒の肴を用意してくれた。
詳しくは貼付の写真を見て欲しいが、見た目と言い味と言い素晴らしい料理であった。
まずはおつくりであるが、天然(だと信じている)の真鯛のお刺身、コリコリとした本物の鯛の味で、刺身醤油で頂いた後にお気に入りの美味酢で食べると、これがまた何とも言えない美味であった。
そう言えば昔はお刺身や鮨はお酢で頂いていたらしい。
次はゴーヤと昆布・レモンスライスの甘酢漬けに茗荷と唐辛子を散らしたもの。お酢大好きの私にはこたえられない逸品だった。
最後にその酢ものと同じお皿に、家内手作りのフレンチ風の一品が乗って来た。
無花果のスライスの上にチャイブ(あさつき)入りのナチュラルチーズを乗せ、その上にアーモンドを一粒配している。これまた絶妙な味であった。
見た目にも美しくその絶妙な味に、名前を付けて売り出せば売れるかも知れないと家内を褒めあげたが、世の中それほど甘いはずはない。
このところ少しお酒を控えていた私だが、そのことを忘れさせる見事な酒の肴であった。

 秋の夜の酒は家内の手料理で  英世

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冬野十月号

冬野俳句大会も済んで秋も深まった先日、冬野十月号が届いた。
このところどうにか雑詠四句選に定着しつつあるが油断は禁物である。
ただ、今月は冬野インターネット句会で池田主宰選に2句選ばれたことが嬉しかった。
冬野俳句大会の入選句は既に発表したので、冬野十月号とその他の句会の入選句をご紹介しよう。
冬野十月号
 神田と札ある父の青田かな
 図書館を逃げ場としたる極暑かな
 野も山もただ万緑の中にあり
 万緑の杜の暗さを歩きけり
 素麺を囲む十人家族かな
 棟梁も小言忘れて三尺寝
 山頂のことに汗引く早さかな
 汗をかくことが誇りの山男
 とんぼうの鳴かざることも神慮かな
 話すべき言葉出て来ぬ残暑かな
冬野インターネット俳句
 爽やかに祖母の手を引く男の子かな(池田主宰選)
 拍子抜けなるも安堵の厄日かな(池田主宰選)
 古希に足す一日一日や秋遍路
 まだ少し遊び足らぬや穴まどひ
俳句ステーション
 寺にあるまじき係争秋暑し
 秋の声五感で聞ける夕べかな
 駅を出て一直線にねぶた観る
 事故死とは言ひ難きもの父の盆
愚陀佛庵インターネット俳句
 他所の子に指図する娘や西瓜切る(特選・写真)
 生身魂笑ふ声にも陰のあり
現代俳句インターネット句会
 蟷螂の目玉残して枯れにけり
 酒一壺あれば事足る月の客
 芋虫を殺せり妻の命のまま

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脊振登山 Ⅲ

帰路の尾根の途中で不思議なものを見つけた。山岳修験道の祖である役の行者の石像が、何と自衛隊の基地の中にあるではないか。
昔は原野にあったものが、その土地を自衛隊に接収され、かろうじて今もその中に祀られているのであろう。
信者は基地の金網の外から拝むしかなく、何となく合点が行かなかった。
それにしても、山で食べるおにぎりは文句なしに美味しい。
この日の私の山飯は海苔まきのおにぎり2個に茹で卵、ブロッコリー、トマト、きゅうりの醤油漬そして脊振山の美味しい湧き水であった。(写真を忘れたのが残念)
かくしてこの日の歩行距離は約8キロ、時間にして正味5時間の手ごろな山歩きであった。
ただ、私の脚は何故か前へ前へと行きたがり、この日は太鼓岩と唐人舞で腰を下ろし、途中で食事をした以外はただ黙々と歩き続けた。
歩きながら、この丈夫な脚をくれた父母に感謝しなければとつくづくと思ったものである。(終)

 親からの脚に感謝の秋の尾根  英世

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脊振登山 Ⅱ

その太鼓岩から尾根道に戻り一路「唐人舞」の巨岩を目指した。
唐人舞のことは前にもお話したが、玄界灘を望む尾根の絶景の地に大きな岩があり、唐人が故郷を偲び涙ながらに舞を舞ったと言い伝えられている。
私も尾根のピークから後ろを振り返り、故郷の村とその先に広がる有明海を眺め、しばし望郷の念を募らせた。
玄界灘方面の絶景を見ようと唐人舞の大岩によじ登ってみた。
ところがこれがまた大変な目にあった。登るときはよかったが降りるときの怖かったこと半端じゃなかった。もう無理はするなと言うことだろうか。
それにしても静かである。吹き渡る風と時折聞こえる鳥の声以外に私を覚醒させるものは何もなかった。
何時もならこれから更に歩を進め、椎原峠から猟師岩を目指すのだが、時計を見ると午後3時、やむを得ずここから引き返すことにした。
私は「山は登るのも勇気だが引き返すのも勇気だ」と常々思っている。決して無理をしてはならない。

 遠見する我が故郷や天高し  英世

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唐人舞からの絶景       唐人舞の巨岩
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脊振登山 Ⅰ

先日お話ししたように今日から脊振登山の話をしよう。
古希の記念に何故脊振山を選んだかというと、脊振山系のなかで「太鼓岩」という一箇所だけまだ行ったことのないところを思い出したからである。
その話しは後でするとして、久し振りに佐賀県側の矢筈峠に登り尾根歩きをしようと三瀬峠から車で林道に入ったが、これがとんでもない間違いであった。
何とその林道は先の方で交通止めになっていたのである。交通止めをするならするで、入口で止めればいいのにと云ってもあとの祭である。
大きく迂回して仕方がなく脊振山頂上近くの駐車場に止め、そこから尾根伝いに歩き目的地の太鼓岩を探すことにした。
時刻は午前11時、空には美しい昼の月が浮かんでいた。
爽やかな秋風に吹かれながら脊振山頂の神社に詣でたあと、水場で水を補給し椎原峠方面へとひたすら歩き、途中で左に折れクマザサを掻き分けながら20分ほど下ったところに目的の「太鼓岩」はあった。
その太鼓岩は人が乗って動くと、ごろんごろんと幽かに音がすることから太鼓岩と名付けられたもので、私も試しに乗ってみると確かに太鼓のような音がした。
二個の大岩が微妙なバランスで重なっているからであろう。

太鼓岩踏めばごろんと秋の声  英世

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脊振山遠景           脊振神社奥宮(山頂)
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矢筈峠             太鼓岩

十月の花ごよみ(桔梗)

10月と言うのに昨日は法師蝉が時を惜しむかのように鳴いていた。
さて、秋の代表的な花に桔梗がある。
読み方はキキョウであるが、俳句では桔梗と書いてキチコウと呼ぶことで知られている。
秋の七草の一つで、百花苑や野草園に行くと秋の日差しを浴びて桔梗がひときわ鮮やかな紫の色を放っている。
東南アジアに広く分布しており、日本では山野に野生するものの他に、最近は寺の庭などに秋を彩る花として栽培されるようになった。
しかし、この桔梗は万葉集には殆んど載っていない。
ただし、山上憶良の詠んだ秋の七草の朝顔が実際はこの桔梗ではなかったかと言われている。
おそらく朝咲いて夕方しぼむ桔梗を朝顔の仲間として詠んだのであろう。
何とも秋らしいしっとりしたこの花が私は好きである。

 その色を我が衣としたき桔梗かな  英世

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季節の花300より

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