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私の本棚「子規の宇宙」

子規生誕150年と言うことで、俳人長谷川櫂の「子規の宇宙」を読んだ。
近代俳句の礎を作ったのが正岡子規であることはもちろん知っていたが、「ホトトギス」の虚子の方にばかり意識が行って、子規の生涯についてはあまり勉強していなかった。
この本はその子規のことを詳しく紹介したものだが、単に子規の生涯を年表的に追っかけるのではなく、子規の成し遂げたあるいは成し遂げようとした仕事の意義を中心に取り上げている。
圧巻は子規の死後、2メートルにも達する66冊のノートが残され、その中には室町から幕末までの500年間に詠まれた12万句が整然と分類されていたということであった。
また、子規を取り巻く人々、つまり虚子を始め碧梧桐、漱石などとの交流も、ほのぼのとしたものと言うより何か仕事に真剣に向き合っている壮絶な感じがした。
病の身の何処にこれほどのエネルギーがあったのだろうか。自分が俳句を口にすることが恥ずかしい思いであった。
余談だが、昨夜はバスの中で本を読んでいるうちに、バス停を三つほど乗り過ごしてしまった。
物事に熱中してしまう私も問題だが、子規も現代のバスや電車に乗ったらきっと乗り過ごしただろうと妙なことを考えていた。
明日は子規の三大随筆についてお話ししよう。

  夏の夜子規を思へば寝苦しく  英世

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