冬野随筆「鈴木真砂女のこと」

鈴木マサジョ無題

平成元年、福岡でよくお世話になっていた料亭の若女将が、私に東京を案内して欲しいと訪ねて来た。
行先は銀座一丁目の小料理屋「卯波」だと言う。
東京に赴任して来たばかりの私には、卯波」と言う小料理屋など知る由もなく、結局二人で訊ね歩いて、お稲荷さんの奥の路地にその「卯波」を見つけた。
店には妙齢の小さな女性が、白い割烹着を着てにこやかに客の相手をしていた。彼女こそが卯波の女将・鈴木真砂女その人で、どことなく品がよく独特のオーラを放っていた。
私は真砂女が当時全国的に有名な俳人であることも知らず、一緒に行った若女将と真砂女が何かを話している片隅で、一人静かに酒ばかり飲んでいた。
その後、私がその若女将の勧めで俳句の道に入ろうとは、その時はまだ夢にも思っていなかったのである。
そんなことなら、真砂女と一言でもいいから口を聞いておけばよかったと、今思えばもったいないことをしたと残念でならない。

 紫陽花や江戸に真砂女の卯波訪ふ  英世

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癒しの「生け花展」
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コメント

わあ、凄い

大津様 真砂女サンって言っていいものかどうか。
雑誌だったかでこの方のこと、以前読んだことがあって
印象に残っています。
 知らなかったとはいえ、何かのご縁の巡り合いだったのでしょうね。

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