一句の風景

露けしや母の遺愛の桐箪笥

実家の玄関を上がった廊下にその古めかしい箪笥はあった。
聞けば母の遺愛の箪笥で、母の死後、弟の嫁が捨てるに忍びないとそのまま置いているという。
今時何でも捨ててしまう人が多い中で、その嫁の心遣いを有り難く思った。
ところがよく見るとその箪笥は私が知っている母の箪笥と違うような気がした。母の箪笥は濃い茶色の重厚なものであったが、その箪笥は白木造りである。
聞けば、母が亡くなった後箪笥屋に頼んで桐の白木を削り出したのだと言う。
こうして母の箪笥はまた新しい命を吹き込まれたのであるが、果たして天国の母はどう思っているだろうか。
2012年(平成24年)9月「季題:露(秋)」

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