一句の風景

他所者の吾とて山笠の血が騒ぐ

昨日梅雨が明けたらしいと発表があったが、この前までの大雨は何だったのだろうと言いたくもなる。
さて、博多の三大祭りの一つである博多祇園山笠は、800年の伝統を持つ夏祭である。
博多祇園山笠は豪華な飾山笠と街中を駆け巡る舁き山笠が有名で、特に舁き山笠は博多っ子の血湧き肉躍るメーンイベントである。
7月1日から15日までの山笠期間中は、博多の街が祭一色に彩られ、内外からの観光客も多く訪れる。
祭が始まると、純粋の博多っ子ではない私でさえも血が騒ぐ祭である。
2015年(平成27年)7月「季題:山笠(夏)」

私の好きな一句

五月雨や大河を前に家二軒  蕪村

五月雨つまり梅雨の雨で水位が高くなった大河の前に、家が二軒建っているという写生の句である。
今にも氾濫し、流されそうな家が寄り添うように建っている。実際は危険が迫り緊迫した光景なのだろうが、この句を詠んでいると何となくそのような緊迫差は感じられず、むしろ長閑な山村風景が浮かんでくる。
この光景は私にも経験がある。筑後川の支流にあった村々の軒先には必ず小舟が吊るされていた。それほど度々氾濫していたということであろう。
ところで、蕪村が詠んだこの大河は何という川なのだろうか。気になって仕方がない。

冬野七月号

雷鳴が轟く梅雨真っ盛りの朝、冬野7月号が届いた。
今月号は、この7月で一千百号を迎えた記念式典の様子が詳細に報告されていた。その記念句会では「薫風や親から子へとつなぐ句碑」の句が廣太郎先生の選に入った。
例によって冬の入選句並びにその他の句会の入選句を紹介しよう。
冬野七月号
 花散らす風となられて逝きし人
 天守なき城を浮かべて花の雲
 隠沼も恋の季節や亀の鳴く
 蝶翔つや花より魂の抜けしごと
 万葉の小路椿の咲くところ
 漢とは優しきものよすみれ草
 菜の花やローカル線の海の青
 菜の花や程よき距離に吾が故郷
冬野インターネット句会
 ジーパンの裾の湿りや走り梅雨
 降り出してしたり顔なる雨蛙
 夏草や山積みされし捨て墓石
 鳴き声も保守本流の時鳥
俳句ステーション
 投句なし
愚陀仏庵インターネット句会
花筵平和呆けせし人ばかり
抽斗を上手に使ひ更衣

一句の風景

淡々と叩く木魚や蟻地獄

太宰府の苔寺「光明寺」を訪ねた時の句である。
この寺には苔むしたきれいな庭があり、俳人好みの格好の吟行地となっている。
ここで俳人の誰もが注目するのが縁の下の蟻地獄である。殺生禁断の寺に蟻地獄、なんとなく芥川龍之介の小説「蜘蛛の絲」を連想してしまう。
突然木魚の音が聞こえて来た。その音色はたんたんとした調べに聞こえるが、私には蟻地獄に落ちた小さな命を供養しているように思えてならなかった。
なお、現在この寺は参拝者のマナーの悪さから拝観中止となっている。いつの日か再開されることを望まずにはいられない。
2015年(平成27年)6月「季題:蟻地獄(夏)」

唐人町界隈吟行

今回の渦潮句会吟行は唐人町界隈であった。この界隈は句会場のふくふくプラザに近いこともあってよく訪れる場所である。
地名の由来については不詳だが、『筑前国続風土記』には「其始高麗人住せり」とあり、『筑前国続風土記拾遺』には「往古は唐船が泊まりしゆえ、如此(かくのごとき)名あるよし」とある。
江戸時代には唐津街道に家並みが立ち、今はその唐津街道沿いに唐人町商店街が出来ている。何時ぞやお話しした河童伝説の地として、親子河童がほほえましい笑顔で立っており、他にも多くの寺院や防塁址、処刑場跡などがあって吟行にはもってこいの地である。
この日は梅雨の中休みなのか、曇り空ながらも雨は落ちて来ず絶好の吟行日和であった。
その唐人町を詠んだ今日の一句をご紹介しよう。

  夏草や山積みされし捨て墓石  英世

2018062711220000 (002) 2018062711170000 (002)

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