太宰府天満宮吟行

今回の百年句会は久しぶりに太宰府天満宮であった。
この日は抜けるような青空で、このまま空梅雨になるのではと心配されるような天気であった。そのような好天のもとに、絵馬堂に集合し本殿に参拝した後は東神苑の菖蒲池に向かった。
菖蒲池には約55種3万本が咲き誇り、白、うす紫、紫の花々が水面に映る姿は、太宰府天満宮の菖蒲池ならではの見所となっている。またその池中には高浜年尾の句碑も立って、池のほとりには紫陽花が今を盛りと咲いていた。
その菖蒲池のあとはいつものように博物館横の湿地を散策し、苔寺として有名な光明禅寺へ向かった。この光明禅寺は観光客のあまりの無法ぶりに拝観禁止の措置を取っているが、句友のつてでこの日は特別に拝観可能となったものである。
久しぶりに見る苔の庭はまばゆいばかりの美しさで、果たしてこの美しさが句に詠めるだろうかと不安になったほどである。
そのような中で詠んだ今日の一句をご紹介しよう。

  空梅雨の予感は風の軽さにも  英世

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一句の風景

薫風や所を得たる三師の碑

師の池田昭雄先生の句碑建立の時に賜った句である。
実は句碑建立の当日にはまだこの句は出来ておらず、俳句大会にも投句しなかった。
俳句大会での成績があまりにも無残だったので、後で再び句碑を訪れ詠んだものである。
昭雄先生の句碑は天神の水鏡天満宮に、師系の稲畑汀子先生、小原菁々子先生の句碑と共に建てられている。
三代句碑が香しい薫風の下に所を得て調和しており、その様子に感激して賜った句である。
2014年(平成26年)6月「季題:薫風(夏)」

夏暖簾

この夏暖簾は字のごとく夏の暖簾で、この時期よく詠まれる季題である。
新日本大歳時記によると、「軒先に張って日除けにする暖簾であるが、夏季になると涼しい柄をあしらったものに改める」とある。
ところが私の知っている暖簾は、日除けの意味よりもむしろ店と街中を仕切るためのものであり、その短い暖簾をくぐることで人が客になる門のようなものである。
私の行きつけの割烹「ひしむら」でも、夏になると麻暖簾に替えて涼しさを演出しているし、同時に女将も一重の涼しそうな着物を装ってくる。
また、博多と言えば屋台が有名だが、その屋台も冬の風を遮る手段が暖簾であり、夏に風通しを良くするのもこの暖簾である。
その夏暖簾を詠んだ今日の一句をご紹介しよう。

  北斎の波を染め抜き夏暖簾  英世

黐の花

今月の硯潮句会の兼題は「黐の花」と「夏暖簾」であった。
まずややこしい字の黐の花だが、「もちの花」と詠む。子供の頃親しんだ鳥もちの原料の木である。
ところがこの兼題が出てハタと困った。黐の花にはほとんど馴染みがないからである。
そこは困った時の頼みの綱の植物園である。兼題が発表になってすぐの5月2日に植物園を訪ね、顔見知りの職員に黐の木のあるなしを訪ねたところ、係員も参考資料を見ないとわからないほどの目立たない樹木であった。
係員も自分の勉強になるからとわざわざ連れて行ってもらって黐の木を見に行ったが、何と花は散ってしまい早くも青い実がついていた。
歳時記では黐の花は6月の季題になっている。花の兼題が出るといつも私が参考にしているインターネットの「季節の花300」でも黐の花の撮影日は4月4日で、青い実の撮影日は4月26日になっていた。別の資料でも花はソメイヨシノの頃咲くとなっていた。
さてこのややこしい季題をどう処理したらいいものだろうか。ここはクロガネモチで詠むしかあるまいと詠んだ今日の一句をご紹介しよう。

  棄て墓に日がな雨降り黐の花  英世

お酒の日

昨日はお酒の日ではないかと思うような出来事があった。
今から仕事と気が焦っていた時に、玄関に宅配便が来た。
出てみると、句友の女性からウィスキーが届いたのである。それも銘酒ばかり3本である。
先日の飲み会で、家に誰も飲んでくれないウィスキーがウインドウの飾りなってるという話を聞いて、冗談半分にそれなら私が飲んであげますよと言ったところ、本当に贈って来たのである。
実はその前日、句友の女性から新潟のお土産だと、銘酒「菊水」を貰い美味しくいただいたばかりだというのに。
早速二人にお礼のメールを入れたが、ことはそれだけでは済まなかった。
昨日仕事を終えて家に帰ると、今度はエビスビールがワンケース届いていた。息子からの父の日のプレゼントであった。
いくら私が呑み助だとは言え、こんなことがあるだろうか。
これに甘えて一挙に飲んでしまったら私の体はきっと壊れてしまうに違いない。
有り難いことだが、ここは一杯毎に頭を下げながらペースをわきまえてゆっくり頂くとしよう。

  戴きし酒の封切る梅雨の夜  英世

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